人の輪を広げていきたい

 支援の構造や目指す方向性を「木」に置き換えて整理する「支援の木」作成のプロセスにおいて、利用者の思いを実現させるためには、利用者支援だけではなく、地域理解を深めなければ行き詰まってしまうことに改めて気づかされました。そして、暮らしのさまざまな支援の中で、より「地域」を意識するようになり、周辺住民との交流や、障害理解を広めるための取り組みを具体的に計画するきっかけとなったといえます。まだまだ不充分ではありますが、少しずつ動き始めています。

 わたしたちは、「みんなが暮らしやすい地域・社会」の実現をめざして伸びていくこの木を、丁寧に育てていきます。

支援イメージ図(支援の木)

土壌・環境 根っこ 幹 生命力 めざす方向 枝 葉 利用者 地域
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『土壌・環境』

 「支援の木」の土壌・環境は、「地域・社会の状況」や、「人々の生活観・福祉観」です。障害に係る制度や政策、社会保障のしくみ、財源、人々の障害への関心や理解、地域性、障害のある方の願いなどが、水や日光、栄養の役割を果たします。水・日光・栄養がたっぷりと注がれるよう環境となるためには、障害への理解や、暮らしやすくなるための制度や保障が重要です。

 土壌や環境の変化は、もちろん木の生長(成長)に影響を及ぼすものとなります。

『根っこ』

 「支援の木」を支える土台は、「根っこ」です。地面を掴み、木を支えるどっしりとした「根っこ」は、支援の方針・考え方・ビジョンです。『モットー』や「わたしたちのめざすもの」の『7つの柱』が、それにあたります。根っこの上に、幹、枝葉が伸びていくためには、向かうべき方向や目的が明確であることが大切です。

『幹』

 「根っこ」の上に伸び、枝葉を支える幹は、「スタッフのあり方」です。スタッフ一人ひとりの人間性や愛がベースとなり、利用者や来客者に対し、「倫理綱領及び行動規範」や「就業規則」に沿った誠実で丁寧な対応をします。

 スタッフ一人ひとりの個性を大事にした上で、スタッフが相互に思いやり、良好なコミュニケーションやチームワークをとることのできる関係性の中で、幹はより太くなります。

『生命力』

 木には、「内的な力」があります。木の強さは、「スタッフの時間や待遇、風土」です。ゆとりや仕事以外の暮らしの充実、働きやすさは、仕事へのパワーとなります。木のしなやかさは、「スタッフ個人での気づきや学び」です。支援力、リーダーシップ、経営力など、それぞれの役割に応じたさまざまな力を高め、柔軟にしてくれるものとなります。木を生長(成長)させていく力は、スタッフ一人ひとりが「考え行動する個人」であり、「考え行動する集団」であることです。まず、個人や集団に「気づく力」があり、気づきを基にさまざまな力(創造力、企画力、実行力、判断力、調整力、応用力…)を最大限に活用します。それらの力が合わさって生命力となります。柔軟な発想やアイディアで、状況を具体的に改善・展開しながら目的に向かっていくことができます。

『めざす方向』

 利用者の枝と地域の枝がそれぞれ共感しながら伸びていくと、ひとつの枝となって、まっすぐに上を向くことができます。これは、誰もが暮らしやすい地域・社会に向かう枝です。障害のあるなしに関わらず、暮らしを営む人々のたくさんの個性の葉が生え、補い合いながら育っていきます。

『枝』

 「枝」は、「利用者への支援」と「地域への働きかけ」です。この図では、左の枝を「利用者への支援」、右の枝を「地域への働きかけ」としています。左右どちらもバランスよく育っていかないと、木は曲がってしまい、最終的には倒れてしまいます。また、左右の枝は、それぞれに別のものではなく、関係し合っています。

 支援や働きかけは、それぞれを理解することから始まります。その上で、「わたしたちのめざすもの」の中の『支援のポイント』の考えに沿って、利用者に対しては、暮らしの基盤をつくり、それを広げていくための支援を、地域に対しては交流の基盤をつくり、それを広げていくための働きかけをします。

『葉』

 「葉」は、「利用者と地域の共感的成長」です。「枝」である「支援や働きかけ」から芽生える、利用者と地域住民が関わり合いや結びつきの中で、共感的に見出していくものということができます。そして、利用者・地域住民という分け隔てなく、利用者も地域住民の一人として、みんながそれぞれに自分らしく暮らすことができるようになっていきます。

実り ~ 『利用者』の暮らし

 「利用者の暮らし」を支えるためには、まず、利用者の思いを理解することが大切です。その上で、暮らしの基盤を支えます。それにより、本人の暮らしには、安全、安心、健康、快適、楽しみなどの「葉」が育ち、心地よい暮らしを生み出します。そして、日常的な支援において、地域住民との結びつきを大事にしながら、さまざまな情報を伝えたり、自信をもつことのできる場を設定していくことで、利用者の興味や関心、欲求、自己表現、人間関係、所属(居場所)などの「葉」が育ち、広がりをもっていきます。その中で「自分はどう生きていきたいか」という思いが変化していくこともあるでしょう。本人の思いに沿ってさまざまな機会や体験の場を設定していくことで、(みんなとともに生きていく中での)自分らしさを発見し、思いの実現や自分らしい暮らしの展開へとつながっていきます。

 利用者が自分らしい暮らしを築いていく「実り」のためには、利用者の思いに沿った『ケアプラン』の作成と見直しを行い、プランに沿った、継続性のある、統一された支援が求められます。

実り ~ 『地域』の暮らし

 「地域住民の暮らし」に働きかけるためには、まず、地域住民の思いを理解することが大切です。その上で、交流の基盤を整えます。それにより、不信の排除、不安の解消、理解の促進などの「葉」が育ち、交流を広げていく上での安心感を生み出します。そして、日常的に、障害や利用者の暮らしに関する情報を伝えたり、実際に関わりをもつ場を設定していくことで、興味や関心、ふれあい、対話、交流、自発的な関わりなどの「葉」が育ち、広がりをもっていきます。その中で、「自分はどう生きていきたいのか」という思いが変化することもあるでしょう。さらに、利用者と関わるさまざまな機会や体験の場を設定していくことで、(障害者とともに生きていく中での)自分らしさを発見し、思いの実現や自分らしい暮らしの展開、地域としてのハード・ソフト面における様々なバリアフリーの実現へとつながっていきます。

 地域が利用者を受け入れた中で展開し、誰もが暮らしやすい地域・社会を築いていく「実り」のためには、『地域交流プラン』の作成と見直しを行い、プランに沿った、継続性のある働きかけが求められます。